| H12.12.1 大阪地判決 平成12年(ワ)5267(一部認容) | |||
| 経営不振を理由としたパートタイマーの解雇につき会社が解雇回避の努力を尽くしたとはいえないとして解雇無効とした事例 | |||
| 体系項目 | : | 解雇
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解雇事由
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就業規則所定の解雇事由の意義
解雇 / 解雇権の濫用 | |
| 出典 | : | 労働判例808号77頁 | |
| 判決理由 | : | パートタイマー就業規則第11条7号該当事由があるかどうかが問題となるが、同条項「会社の業務の都合により、雇用の必要がなくなったとき」の解釈としても、原告が右就業規則にいう期間の定めのある労働者ではなく、期間の定めのない雇用契約を締結した労働者であることを考慮してその要件を判断すべきであり、余剰人員となれば、直ちに解雇が可能といえるものではない。解雇が、賃金によって生計を立てる労働者の生活に重大な影響を与えるものであることからすれば、これは社会通念に従った合理的なものでなければならず、右就業規則の解釈としても、かかる要件が要求されるものと解される。 被告は、本件を整理解雇ではない旨主張するところ、解雇に整理解雇という特殊な要件を必要とする解雇の類型があるわけではなく、整理解雇に当たるか否かという議論は無意味であるが、被告の主張する解雇の事由は、余剰人員となったことを理由とするものであって、余剰人員となったというだけで解雇が可能なわけではなく、これが解雇権の行使として、社会通念に沿う合理的なものであるかどうかの判断を要し、その判断のためには、人員整理の必要性、人選の合理性、解雇回避努力の履践、説明義務の履践などは考慮要素として重要なものというべきである。〔中略〕 本件解雇は、被告の主張するように、経営不振を理由として行われたものではなく、いわゆるリストラの一貫として、被告の減益傾向の中で事業の転換・再構築を図るため、余剰人員化した原告を解雇したものであるところ、確かに、被告は、売上げ、経常利益の減少の中にあり、いわゆるリストラを行うこと自体は、企業としての合理的判断として相当なものであったといい得るし、また、原告が、英文タイピストとして雇用されたのに、その専門性を失い、業務量の減少の中で、余剰人員化していたことも認めることができる。しかしながら、解雇は賃金によって生計を維持する労働者にとって重大な影響を与えるものであるところ、余剰人員化したことについては、労働者に何らの責任もないのであるから、余剰人員化したというだけで解雇できるものではない。原告は、パートタイム労働者であるが、その勤務時間は、正社員より1時間30分短いだけであり、期間の定めのない雇用契約を締結した労働者であり、かつ、本件解雇時までに既に15年以上を勤務していた者であって、雇用継続に対する期待度は高く、雇用関係の継続に対する期待、信頼について正社員に比べて格段に異なるものがあるとはいえず、むしろこれに近いものがある。そして、原告が国際事業部においては余剰人員化し、他部署において、英文タイピストの必要性がなかったことは認められるものも、原告は、相当以前から、一般補助事務要員としての業務を行っていたものであって、一般補助事務要員としてであれば他部署に配置することも可能であったということはできる。正社員については、いわゆるリストラ中であるというものの、整理解雇やこれを視野に置いた退職勧奨が行われているわけではなく、被告としてもそこまでの必要性があるとは判断していないわけであるし、その後、被告は、パートタイム労働者を雇用しており、また、解雇回避のためには、原告をフルタイム労働者に職種変換することも考えられてよく、配転の可能性がなかったとはいえない。原告の賃金は、新規雇用のパートタイム労働者からみれば、相当に高額であるが、原告と同程度の勤務歴を持つ正社員の賃金に比べれば、それほど高額とはいえず、解雇回避の手段としての出費という意味では、これを捻出することができないほどに解雇の必要性があったとはいえない。しかるに、被告は、原告に対し、配置転換の提示をしていないし、退職勧奨も行っていないのであって、原告が営業不振の中にあって、いわゆるリストラを実施中であることを考慮しても、解雇回避の努力を尽くしたとはいい難いものである。なお、被告は、解雇回避の努力として何を選ぶかは、企業の責任で決定し、実施できるものや効果のあるものについて実施し、実行すれば足りるものであって、経営に責任を持たない裁判所が、使用者たる企業に代って判断はすべきでない旨主張するが、採用できないものである。以上によれば、原告の解雇は、社会通念に反するものといわなければならず、本件解雇は、パートタイマー就業規則11条に規定する解雇事由に該当しないものであり、少なくとも解雇権の濫用として無効なものである。 | |