| H12.3.29 大阪地裁判決 平成10年(ワ)4173,10353 一部却下、一部棄却(4173)、一部認容、一部棄却(控訴) | |||
| 組合活動の中で行われた暴行等を理由とする懲戒解雇に合理性があるとされた事例 | |||
| 体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇
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懲戒事由
/違法争議行為・組合活動
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| 出典 | : | 労働判例790号66頁 | |
| 判決理由 | : | 一般に、企業は、これを構成する人的要素及びその所有、管理する物的施設の両者を統合し、合理的、合目的的に配備組織するための企業秩序定立・維持権限を有し、その一環として、職場環境を適正良好に保持し、規律ある業務の運営態勢を確保するため、一般的規則又は具体的指示、命令によってその物的施設の使用を禁止又は制限する権限(施設管理権)を有するところ、企業の従業員は、雇用契約の趣旨に従って労務を提供するために必要な範囲で、かつ、企業秩序に服する態様において右物的施設の利用を予め許容されているものの、これを超えて、当然に企業の物的施設を利用する権限を有するものでないと解される。そして、これは、労働組合又はその組合員が組合活動をする場合も同様であり、労働組合又はその組合員が企業の許諾を得ることなく右物的施設を利用して組合活動を行うことは、その使用を許さないことが権利の濫用にあたる場合を除いては、企業の施設管理権を侵し、企業秩序を乱すものであり、正当な組合活動ということはできない。〔中略〕 前提事実2記載のとおり、JR東海労結成以来被告及び原告らの所属するJR東海労とは労使関係をめぐる紛争が多発していたことは明らかであり、当日の行動も組合活動の一環としてなされたもので、騒擾行為とまでいうことはできないものの、暴力の行使は、いかなる場合も正当な組合活動とはいえない(労働組合法一条二項但し書き)こと、当日の行動が三〇名以上の組合員が早朝の職場に乱入し、約三〇分もの間、無抵抗の管理者らに対して暴行、暴言を働くという悪質なものであること、原告X1が前述のとおり、分会三役の一員であり、当日の行動において指導的立場にあったといえること、同じく分会三役であるA分会長(出勤停止三〇日)と比較しても暴行、暴言が悪質であること等の事情を考慮すれば、原告X1に処分歴がなく、勤務態度も平均的であるという原告X1主張の事実が認められるとしても、原告X1に対する本件解雇が、客観的に合理的な理由を欠き、又は社会通念上相当として是認し得ないとはいえず、懲戒権の濫用にはあたらないというべきである。〔中略〕 原告X2については、原告X1と同様分会三役の一員であり、当日の行動において指導的立場にあっただけでなく、自らが行った被告管理者らに対する暴言、暴行の程度を見れば、むしろ原告X1よりも悪質というべきであるから、原告X2には処分歴がなく、勤務成績が被告に評価されるものであったという主張事実が認められるとしても、原告X2に対する本件解雇が、客観的に合理的な理由を欠き、又は社会通念上相当として是認し得ないとはいえず、懲戒権の濫用にはあたらないというべきである。 本件解雇は、実体的には被告の就業規則に定める懲戒事由に基づいて正当になされており、就業規則や労働協約において、それ以上に手続的にも被処分者に弁明の機会を与えなければならない旨の定めはないのであるから、右手続きを履践しないことのみをもって重大な手続上の瑕疵があるものとして懲戒処分の効力を否定することはできないというべきである。この点に関する原告らの主張は理由がない。 以上のとおり、本件解雇には、原告らの主張する無効事由はいずれも認められないから、被告の従業員たる地位の確認及び賃金の支払を求める原告らの請求はいずれも理由がない。そして、原告京力は、平成五年九月一〇日に本件解雇によって被告の従業員たる地位を失っているから、それから六〇日を経過した同年一一月一〇日に本件社宅の明け渡す義務を負い、それ以降の占拠については、これによって被告の被った損害を賠償する義務がある。〔中略〕 社宅の場合、通常は企業がその従業員にのみ使用させることが予定されており、不法占拠がなくてもこれを他に運賃して賃貸して賃料を取得することはないから、特段の事情がない限り、不法占拠によって相当賃料額の損害が企業に発生するとはいえない。 そして、被告の従業員たる地位を失った原告X1が本件社宅を明け渡さないために被告が相当賃料額の損害を被ったとする特段の事情について主張・立証がなされていない以上、原告X1の不法占領によって被告の被る損害は、本件社宅の使用料である一か月九七二〇円の限度でしかその発生が認められない。 したがって、原告X1は、本件解雇によって被告の従業員たる地位を失った平成五年九月一0日から六〇日後である同年一一月一〇日以降は本件社宅を不法占拠していることになり、同日から平成一〇年八月末日までに被告が被った損害額は、社宅使用料の五七・七か月分にあたる五六万〇八四四円であり、同年九月以降は、一か月あたり社宅使用料である九七二〇円の割合による金員支払義務がある。 | |