リオスデジタル六法  労働基準関係判例集

従業員地位確認等請求、損害賠償請求(バイエル薬品事件)
H11.9.27 大阪地裁判決 平成9年(ワ)10124外 棄却
物品購入に不正のあった労働者の懲戒解雇が有効とされ、会社から労働者への損害賠償の請求が認められた事例
体系項目 労働契約/ 労働契約上の権利義務/労働者の損害賠償義務
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 /職務上の不正行為
出典 労経速報1740号3頁
判決理由  争点一1に関する前記認定事実によれば、原告の行為は、不正購入の金額が、約一四四〇万円という多額にのぼる上に、長期にわたって反復、継続しており、被告会社の経理の手続の盲点をついて、実際に納品された物品とは全く異なる二〇万円未満の消耗品に分割した内容虚偽の納品書及び請求書を業者に指示して提出させるなど、その方法が計画的かつ巧妙であるから、原告に有利なあらゆる事情を考慮しても、被告会社のした本件懲戒解雇が著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないとはいえず、解雇権の濫用にはあたらない。
 原告は、被告会社に無断で被告会社名で本件物品を購入し、別紙(二)のとおり、被告会社からA社に対して一四四三万三一八四円の支払をなさしめたのであるから、被告には右金額の損害が生じている。本件物品中には、ある程度の汎用性のある機器も含まれるものの、原告が本件物品を被告会社に無断で購入するという不法行為がなければ被告会社は一四四三万三一八四円の支出はしていなかったのであるから、被告会社からA社に対する支払総額である一四四三万三一八四円が被告会社の損害額になるというべきである。被告会社は、右のうちの一〇〇〇万円を一部請求するので、その限度で原告に対する不法行為に基づく損害賠償請求を認容することとする。