| H9.12.03. 神戸地姫路支裁判決 平成7年 (ワ) 615 一部認容、一部棄却(確定) | |||
| ブラジルから来日して就労していた外国人労働者が、会社が渡航費用に関して賃金と相殺したのは労働基準法二四条に違反する、また会社が労働者のパスポートを保管して返還請求後も引き渡さなかったことを違法であるとして未払い賃金及び慰謝料を請求した事例(慰謝料請求につき認容、航空運賃につき天引きの合意があり、それは合法であるとして棄却) | |||
| 体系項目 | : | 賃金/
賃金の支払い原則
/
全額払
労働契約/ 労働契約上の権利義務 / 使用者に対する労災以外の損害賠償 | |
| 出典 | : | 労働判例730号40頁 | |
| 判決理由 | : | 航空運賃各二一万円については、原告マ○○ス及び同レ○○ルと被告との間に、一〇回の分割払いの合意及び毎月の給料から同分割金を精算する旨の合意があったものと認められる。右精算の合意は、同原告らの任意によるものと認められ、かつ分割金の内容、金額等に照らし、同原告らの不利益となるものではなく、却って利益な面もあること(原告らは渡航費用を自ら用意せずに渡航し、直ちに日本で就労でき、就労しながら返済ができる。)、支払いの煩雑を避けうることから合理的であり、労働基準法二四条一項の規定にかかわらず有効なものと認められる。 また、航空運賃以外の渡航に必要な経費についても、それが同原告らが当然負担すべきものであるかぎり、航空運賃と同様に分割で支払う旨の合意と給料から精算する旨の合意があったものと認めるのが相当である。〔中略〕 〔労働契約−労働契約上の権利義務−使用者に対する労災以外の損害賠償〕 被告が前記認定の目的で原告らのパスポートを保管することは、その保管が原告らの任意な依頼によるものであり、原告らの返還要求に直ちに応ずるものであるかぎり、違法なものということはできない。原告マ○○スからの返還要求があるまでの期間の被告のパスポートの保管行為は原告らの任意な依頼によるものと認められ、違法ということはできない。 原告マ○○スの返還要求は、何かの手続にパスポートが必要である等の具体性を欠いていたものとはいえ、阪神大震災の被災地及びそれに近接した地域である明石市に居住していた人々が生命及び財産の危険を感じたことは当然であり、ことに地理に不案内で縁戚者のいない外国人の恐怖感と不安感はいうに及ばないところである。このような状況に照らすと、同原告のパスポートの返還請求は正当であり、被告は直ちにこれに応ずるべきであったといわざるをえない。渡航費用の残額の返済がないことを理由に同返還を拒むことは、公序良俗に反し許されないというべきである。 よって、同原告のパスポートの返還請求以後の被告の保管行為は違法である。 | |