リオスデジタル六法  労働基準関係判例集

賃金請求(阪神タクシーなど事件)
H3.11.26 神戸地裁判決 平成1年 (ワ) 1339,平成1年 (ワ) 1338, 平成1年 (ワ) 1340 棄却  
消費税の導入に伴う運賃改訂による増収分は歩合給の対象となる「運賃収入」にはあたらないとされた事例
体系項目 賃金(民事) / 出来高払いの保障給
出典 労働判例604号54頁
判決理由  本件運賃改定においても運賃の値上げが行なわれ、タクシー会社の水揚額が増加するのであるから、形式的には、労使間においては従前と同様の措置が採られる筋合であるが、前認定にかかる本件運賃改定の目的及びその認可の経緯によれば、本件運賃改定における運賃値上げによる水揚額の増加分は、経済上、実質的にはタクシー会社が国に納付すべき消費税に該当する乗客から預った金員(但し、右金員は、タクシー会社の納税額とは一致せず、法的観点からは、運賃の一部であって預り金ではないし、また、右消費税の納税義務者はタクシー会社であることは疑いがない。)であって、形式的には右運賃値上げによって水揚額の増加がもたらされても、それは実質的には従前の意義における水揚額の増加とは言い得ないことは明らかである。また、その場合における従前の水揚額に実質上該当するものは、運賃収入ではなく営業収入であることも疑いがない。
 そして、右のとおりの本件運賃改定の趣旨からすると、右水揚額の増加分は消費税の原資に当てられるべきもので、これを労使で分配すべき性質のものでないことも明らかである。