リオスデジタル六法  労働基準関係判例集

懲戒処分取消請求(兵庫県立三原高校事件)
S57.04.30 神戸地裁判決 昭和51年 (行ウ) 36 棄却
控訴審:大阪高昭61.3.28 昭和57年(行コ)30号
学校教育のあり方に対する生徒の抗議行動に端を発した学内紛争にかかわって、自己の担当授業を実施しなかったことを理由とする高校教諭に対する懲戒免職処分が有効とされた事例
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 政治活動
出典 労働判例472号16頁
判決理由  以上(二)に述べた原告の行為のうち、地理Bの授業をしなかった点は、その程度、態様及び地域社会に与えた影響等に鑑み、地方公務員法第三〇条、第三二条、第三三条、第三五条に違反し、同法第二九条第一項第一ないし第三号に該当し、試験監督を拒否した点は、同法第三二条、第三三条に違反し、同法第二九条第一項第一号及び第二号に該当し、成績の一律評価の点は、同法第三二条に違反し、同法第二九条第一項第一号及び第二号に該当するものと解される。
 もっとも、右のうち成績の一律評価の点は、本件懲戒処分の理由説明書には、処分事由としては明記されておらず、これに明記されている処分事由とは事実関係を異にするところ、懲戒処分を受ける者に処分事由を記載した説明書を交付すべきことを定める関係法条の趣旨及び前記本件懲戒処分理由説明書の記載の程度、本件懲戒処分に至る手続過程に照らせば、本訴において成績の一律評価の点を本件懲戒処分の別個の処分理由として追加主張させることは許されないものと解するのが相当であるから、この点は、処分量定の情状の主張として扱うこととする。
 本件懲戒処分の理由である授業を行なわなかったこと及び試験監督を行なわなかったことにおける義務違反の態様、程度等に鑑みると、仮に、本件処分当時被告において処分の種類につき選択の余地が残るとしても、それは先に述べたとおり、あくまで処分権者としての裁量の範囲内に含まれるものというべき内容、性質のものであるにとどまり、諸般の事情を考慮してなされた本件懲戒処分をもって著しく社会的妥当性を欠くものとはいえず、そこには裁量権の濫用はないものというべきである。