リオスデジタル六法  労働基準関係判例集

損害賠償請求(共立陶業事件)
S50.12.23 京都地裁判決 昭和47年 (ワ) 1184 (確定)
取締役、監査役等会社役員の名称を有している者が実質は労働者であるとして、業務により罹患したじん肺について使用者の労働契約上の債務不履行責任を求め認容された事例
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 取締役・監査役
出典 タイムズ335号304頁
判決理由  会社の役員である者と会社との間に労働契約関係が成立するかどうかであるが労働基準法が労働者とは職業の種類を問わずその事業に使用される者で賃金を支払われる者をいうと規定し(同法九条)、使用者とは事業主又は事業の経営担当者その他の事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為するすべての者をいう(同法一〇条)と規定している趣旨等に鑑み、会社の役員であるということだけで一概に使用者とみるべきではなく、会社の業務に於けるその実質的関係をとらえて判断すべきであり、特に中小企業に於けるが如く取締役、監査役等会社役員たる名称を有しているがその実は労働者で実質的には会社の経営に関する意思決定に殆んど参与していない場合には、なお前記法条に定める労働者と解し、会社との間に労働契約関係の成立を認めるのを相当とするところ、前記認定事実によれば、原告は入社当時から昭和四七年四月までの間被告の役員として名を列ねていたとはいえ、名前だけの役員であってその実体は現場労働者であったということができるから、原告が被告会社に入社した昭和二一年六月初め原、被告間に労働契約が成立し、その後引続き右契約関係が継続したと認めるのが相当であり、役員なるが故に労働契約関係はないという被告の主張は採用できない。